※2024年2月現在の法律や裁判例に基づいたコラムになります。
パワハラ、セクハラ、マタハラは職場での3大ハラスメントと言われています。
企業の規模に関わらず、どの職場でも起きうるハラスメントです。
したがって、企業としては、この3つのハラスメントを防止することが重要となります。
まず、パワハラについては、いわゆるパワハラ防止法(労働施策総合推進法)において、①優越的な関係を背景とした言動で、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものと規定されています。
もっとも、これらの条件は絶対的なものではなく、形式的にこれらの条件に当てはまらなくともハラスメントに当たる可能性があるため、注意が必要です。
次に、セクハラについては、男女雇用機会均等法において、職場での性的な言動に対するその労働者の対応により不利益な労働条件を受けることや(「対価型」)、当該性的言動により労働者の就業環境が害されること(「環境型」)という2種類が想定されています。
そこで、この2種類を念頭にセクハラに該当する待遇や言動が無いかどうかを注意することになります。
最後に、マタハラについては、働く女性が①妊娠・出産に伴う就業制限や産前産後、育児休業などによって業務上の支障が生じることを理由として、解雇や雇い止め、自主退職の強要、配置転換などの不利益や不利な扱いを受けたり、②妊娠・出産に伴い、精神的、身体的な嫌がらせを受けたりすることという2種類が想定されています。
パワハラについては、前述のパワハラ防止法が2019年に成立し、企業などの事業主に対するパワハラの防止措置義務が定められました。
パワハラ防止措置の義務については、パワハラ防止法の成立当初は中小企業については努力義務とされていましたが、2022年4月から中小企業を含む全ての事業主に対する正式な義務とされました。
したがって、現在では、企業の規模を問わず、全ての企業はパワハラを防止するための措置を取らなければならないこととなります。
また、セクハラ、マタハラについても、男女雇用機会均等法が企業などの事業主に対して、セクハラやマタハラにより労働者の就業環境が害されることの無いように、必要な体制を整備することなどを求めています。
前述のとおり、ハラスメントに対する法規制の強化が進められており、全ての企業にハラスメント防止のための体制整備が求められています。
それでは、体制の整備とは、具体的にはどのようなことをすれば良いのでしょうか。厚生労働省の指針も踏まえると、主に以下のような措置が雇用管理上講じられるべきとされています。
①ハラスメント防止の方針や規程の作成、社内周知
②社員啓発のための研修等
③適切に対応することのできる相談窓口の設置、社内周知
①については、ハラスメント防止に関する規程やガイドラインを作成して社内で周知する方法の他、社内報やポスターなどでもハラスメント防止を呼びかけることが考えられます。
②については、職階別に分けて研修を実施する、社内アンケート調査も併せて行うなど、いくつかの実施方法が考えられます。
③については、社内に相談窓口を設ける方法の他、外部機関へ相談担当窓口の運営を委託するという方法もあります。
当事務所では、①ハラスメント防止規程等の作成、②ハラスメント防止に関する研修、③相談窓口の運営のいずれについても、弁護士が対応することが可能です。
弁護士に協力を求めることにより、法律知識や法律上のポイントに基づいた対応をすることが可能となりますので、ぜひご検討ください。
なお、相談窓口の運営を当事務所へ委託した場合、違法行為などに関する内部通報制度にも併せて対応いたしますので、企業内で自浄作用が働くことも期待できます。